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開業前の融資相談で“必ず押さえるべき”事業計画書づくり

2026.04.30

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■よくあるご相談

悩めるドクター

昨年、自宅を購入し住宅ローンが5,000万円あります。
頭金として2,000万円を支払いましたが、子どもが中3と小5で、塾代だけでも月8万円ほどかかります。積立保険や学資保険が800万円ほど、現預金は2,500万円ほどありますが、開業にあたり“自己資金として全額出すべき”なのでしょうか。
開業後の生活も考えると、できれば2,000万円ほどは手元に残しておきたいのですが…

これは、開業を検討される医師から最も多く寄せられるご相談のひとつです。
決して「貯金がないのですが大丈夫ですか?」という単純な話ではありません。

・住宅ローン
・子どもの教育費
・家族の生活
・将来の備え
・開業後の収入が安定するまでの不安

医師であっても、家庭を持ち、生活を守りながら開業を考える以上、
手元資金をどこまで出すべきかは非常に現実的で、重いテーマです。

■回答

アドバイザー

自己資金を全額出す必要はありません。そして、自己資金が10%程度でも融資が通るケースは多くあります。

ただし、

・資産背景
・家計の状況
・開業後のキャッシュフロー
・事業計画の精度
・金融機関の審査姿勢

これらを総合的に見て判断されるため、
自己資金が少ない=融資不可ではありませんが、
任せきり=危険であることは確かです。

開業は、医師としてのキャリアだけでなく、家族の生活や将来設計にも大きく関わる決断です。
だからこそ、融資や事業計画について“正しい理解”を持つことが、
開業成功の第一歩になります。

本コラムでは、
・自己資金はどこまで必要なのか
・融資はどのように判断されるのか
・事業計画書はどこまで自分で把握すべきか
・専門家に任せる部分と、自分で理解すべき部分
を、実例とともにわかりやすく解説します。

①自己資金が少なくても融資が受けられる?

■「自己資金ゼロ=融資不可」とは限らない

Y先生

自己資金がゼロだと、融資を受けるのは厳しいですよね?

アドバイザー

まず結論から言えば、
自己資金が10%程度でも融資が通ったケースは多数あります。

ただし、ここでいう“自己資金ゼロ”とは、
「事業資金として手出ししない」という意味であり、貯金が本当にゼロという意味ではありません。

金融機関が見ているのは、
・預貯金
・不動産
・保険解約返戻金
・家族資産の一部 などを含めた 総合的な資産背景 です。

■理想は20~30%、でも10%でも十分戦える

Y先生

資産の目安は何パーセントくらいですか?

アドバイザー

一般的には、総投資額の20%以上の資産保有が望ましいと言われています。

しかし、10%程度の手出しでも融資成功例は多い というのが現場の実感です。

アドバイザー

ただし、「銀行を選ぶ余裕」はないかもしれません。

主要地方銀行の審査は年々厳しくなっており、
複数銀行から内諾を得て、金利を比較するという時代ではありません。

コロナ前は、
・ゼロ金利
・金利1%未満
・複数行から内諾
が通常の流れでしたが、
現在は金利上昇局面で、審査も条件交渉も厳格化 しています。

つまり、
「融資が通る銀行に出会えるか」が最優先であり、金利交渉は“通った後の話”に過ぎません。

②事業計画書は“任せきり”にしてはいけない

■コンサルや税理士に依頼するのは正しい

Y先生

事業計画書の作成を、開業コンサルや税理士に依頼してもいいのでしょうか?

アドバイザー

事業計画書のたたき台を依頼するのは問題ありません。
むしろ、医療機器・内装・運転資金など、現状の相場感を持つ専門家への相談は必要 でしょう。

アドバイザー

しかし、問題もあります。

■医師自身が「数字の意味」をしっかりと理解しておく

実際の融資面談でよくあるのが、
・投資項目の意味を十分に説明できない
・なぜこの金額なのか、スムーズに答えられない
・収支計画の根拠が曖昧
・安定運営に必要な1日の来院目標数が把握できていない
・検査件数・単価の想定が不十分

といったケースです。

金融機関は、
“計画書を作った人”ではなく、“開業する本人” を審査します。

つまり、
医師自身が数字を語れなければ、どれだけ立派な計画書でも信用が得られません。

■医師が必ず把握すべき項目

最低限、以下は“自分の言葉で説明できる”必要があります。

・投資項目(内装・医療機器・備品・広告・運転資金)の目安予算
・それぞれの予算根拠
・スタッフ人数と人件費の根拠
・1日の来院目標クリアのための方策
・診療単価の想定とプラス要素
・検査件数の想定
・月次収支の損益分岐点
・開業後6ヶ月の資金繰り

アドバイザー

これらを理解し、医師本人が相談先の金融機関へしっかりと説明ができるよう準備をしておくべきでしょう。

同時に、開業に向けた決意の強さや、候補立地の有効性(標榜科目にとって)・将来展望・自身の専門性の強みなど、自己PR資料の準備をしておかれることもおすすめします。

③事業計画書は「融資用」と「目標用」の二本立てで作る

■融資用の計画書は“多少ゆとりのある予算”で作る

融資相談時の事業計画書は、
想定以上の相場変動なども踏まえて、“少しゆとりある予算”で作る方がよいでしょう。

ただし、
膨らませすぎると金融機関に疑念を持たれるため、バランスが重要です。

■そして、医師自身は“圧縮目標”を持つ

Y先生

事業計画書が出来たら、あとは予算通りに進めれば大丈夫ですよね?

アドバイザー

できれば融資用とは別に、目標用の事業計画も併せて考えていきましょう。

実際の開業準備が始まると、
・建築/内装業者
・医療機器ベンダーやメーカー
・広告関係企業
などと具体的な交渉が始まります。

このとき、
融資用の予算をそのまま認識しておくと、つい金額が膨らみがちです。

だからこそ、
医師自身が 「圧縮目標」を持つことが大切 です。

■圧縮目標の例

この“圧縮分”は、
・想定外の価格高騰
・追加備品の予算
などに充てることもありますが、

何より、
最終借入額を減らし、返済負担をできるだけ軽くすることを考えていきましょう。

■逆に、予算が膨らむと“融資内諾が白紙”になることも

融資用計画書より総額が大きく膨らむと、
・再審査
・内諾取り消し
・信用低下
につながるケースがあります。

だからこそ、
「融資用」と「目標用」二本立ての計画をおすすめします。

④最後に:信頼できる専門家を“早期に”選ぶこと

Y先生

医師が、事業計画書を”完全に自力”で作る必要はないということですね。

アドバイザー

そうですね。
しかし、任せきりにすることは好ましくありません。

・投資項目の適正
・圧縮可能なポイント
・交渉の順番
・金利環境の読み方
・銀行ごとの審査傾向

それぞれ、
経験のあるコンサル・税理士の意見を参考に、今のトレンドをしっかりと把握していきましょう。

まとめ

医師が融資相談前に捉えてほしいこと

①自己手出し予算が少なくても融資相談は可能だが、資産背景と計画の信頼性が重要。

②事業計画書は“任せきり”にせず、医師自身が数字の意味を理解することが必要。

③事業計画書は「融資用」と「目標用」の二本立てで作り、圧縮目標をしっかりと持つこと。

■FLY-UPからのメッセージ

FLY-UPは、開業場所の選定だけでなく、 候補地が決まっている先生方の「融資前相談」や「事業計画書作成」のサポートも行います。

物件提案のコンサルタントにすべてを委ねるのではなく、 客観的な視点で冷静な意見をくれる専門家に一度相談をしてみてください。

開業は、医師の人生における大きな決断です。 だからこそ、数字と現実を正しく理解し、 “納得して前に進める計画”を一緒に作り上げていきましょう。


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