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クリニック経営難を回避する!                                          成功のためのチェックリストと重要戦略。

2025.12.17

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Y先生

開業する上で、経営難に陥りやすいパターンはあるのだろうか?

こんな風にお悩みの開業予定ドクターは多いのではないでしょうか?
Fly-up開業アドバイザーの視点から、クリニックが経営難に陥りやすい「落とし穴」と、安定経営を実現するための「重要な戦略」について解説します。

アドバイザー

多くのクリニックを拝見してきた中で、経営を圧迫しやすい、あるいは経営難につながりやすい典型的なパターンは以下の3つです。

経営難に陥る よくある原因3選





1. コスト体質の硬直化と「高すぎる固定費」

アドバイザー

最もよく見られるパターンです。特に、開院時に設定した固定費が、想定していた患者数や診療報酬に見合っていない場合に発生します。

〇高額な賃料
駅前などの一等地で、集患予測を上回る賃料を設定してしまう。 

〇過剰な人件費
開院当初から、必要以上の数のスタッフを採用したり、高水準の給与体系を設定したりする。

〇最新機器への過剰投資
診療圏のニーズや、収益性の見込みが低いにもかかわらず、高額な最新医療機器に投資してしまう。


2. 集患・患者維持戦略の欠如と「機会損失」

アドバイザー

質の高い医療を提供しているにもかかわらず、その情報が地域住民に届いていない、または患者がリピートしない状態です。

〇広報活動の不足
ターゲット層に合わせたホームページ、SNS、地域媒体などを活用した広報・マーケティングが上手くできていない。

〇患者体験(CX)の軽視
待ち時間が長すぎる、スタッフの接遇に問題があるなど、医療の質以前の「サービス面」での不満により患者が離脱する。

〇エリア分析のミス
開業前に地域の世帯傾向や競合クリニックの状況を十分に把握せず、診療方針の特色や専門性の訴求がエリアニーズにマッチしていない。


3. 資金管理の甘さと「運転資金の枯渇」

アドバイザー

診療報酬の入金(通常2ヶ月後)を考慮した資金繰りの計画が甘いケースです。マイナスが続いていても、資金が尽きるまで危機感を持てない場合があります。

〇借入依存体質
赤字を銀行借り入れで一時的に埋め合わせることを繰り返し、元本返済の負担が大きくなり、収益を圧迫する。

〇キャッシュフローの把握不足
毎月の収益と支出を正確に把握せず、特に人件費や地代などの「月末の支払い」に必要な現金(運転資金)の残高を常に把握できていない。

安定経営を実現するために『何が大事か』 重要戦略3選

Y先生

これらの経営難に陥らないために注意すべきこと・戦略などはありますか?

アドバイザー

経営難を回避し、持続的な成長を遂げるために、クリニック経営で最も重要となる戦略は以下の3点です。


1.「収益性の高い構造」の確立(まず固定費を見直しましょう)

アドバイザー

何よりもまず、売上規模に見合った固定費構造にすることが重要です。

〇人件費率の適正化
医業収益に対する人件費の比率(人件費率)を30%前後に抑えることを目指したいものです。開院後 半年~1年ほどは、この比率を超えてしまうことも多いのですが、スタート時の過剰な人員配置は絶対に避け、業務効率化ツール(電子カルテ、予約システムなど)で補う発想が重要です。

〇地代家賃の最適化
家賃は医業収益の10%以下に抑えることが重要だと捉えます。こちらも開院から2年ほどは目標比率のクリアが難しいかもしれませんが、高すぎると、どれだけ集患しても利益が残りません。運営がしっかりと軌道に乗る3年目以降の収益見込みから、負担できる家賃の範囲を定めて物件選定を進めることをお勧めします。

〇コストの「聖域」をなくす
設備投資や消耗品など、一つひとつの支出について「本当にスタート時から必要なものか」「より安価な代替案はないか」を常に考えて、各専門企業との相談・調整を進めてください。


2.「選ばれる理由」の確立と患者エンゲージメント強化

アドバイザー

地域で「選ばれるクリニック」になるための、差別化要素を磨き上げます。

〇質の高い医療サービス
専門的な医療技術は当然として、「待たせない工夫」「優しい声かけ」「分かりやすい説明」など、スタッフ全員によるサービス品質の統一が不可欠です。また、そのためのスタッフ教育や職場環境づくりも重要です。

〇デジタル・マーケティングの強化
ホームページやGoogleビジネスプロフィール(Googleマップ検索)で、診療時間や予約状況、診療内容を正確かつ魅力的に伝え、認知度とアクセス性を高めます。

〇リピーターの確保
慢性疾患の管理や予防医療の提案など、継続的な来院を促す「かかりつけ医」としての機能を強化します。


3.「数字に基づく迅速な意思決定」の習慣化

アドバイザー

クリニックの経営状況を月次で正確に把握し、問題発生時にすぐに対策を打てる体制を構築します。

〇月次決算の徹底
最低でも月に一度、試算表(P/L、B/S)を確認し、特に「売上」「人件費」「利益」の目標達成度をチェックします。

〇重要指標(KPI)のモニタリング
o 新患数: 月々の集患効果
o 患者単価: 1人あたりの収益性
o 稼働率: 予約枠や診察時間の利用効率

〇資金繰り表の活用
診療報酬の入金タイミングと、大きな支出(賞与、税金など)を予測し、向こう3ヶ月〜6ヶ月の資金ショートがないかを確認します。

まとめ:成功のためのチェックリスト

アドバイザー

以上を踏まえ、注意項目を簡単な表にまとめたものがこちらになります。

項目確認ポイント
コスト構造目標開院3年目以降は、人件費率25%以下、家賃負担は10%以下をクリアできるプランになっているか?
集患戦略ホームページは最新で、地域の競合に勝てる「選ばれる理由」を明確に打ち出しできているか?
患者体験待ち時間、スタッフの接遇、説明の分かりやすさに事前の配慮ができているか?
資金管理正確な損益バランスと、向こう6カ月間の運転資金残高が把握できているか?
経営判断開院後に向けて、迅速に意思決定を行う習慣が身についているか?
(慎重すぎずに、状況に応じて柔軟に、早期判断をする意識を)
Y先生

注意・確認すべきポイントが見えてきました!
ありがとうございます!

アドバイザー

まずはクリニックの固定費と月次の収益構造を明確にし、目標値までの到着期間をしっかりと定めていくことをお勧めします。

クリニックの安定経営に向けて、具体的数字に基づいたプランニングをご希望の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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